特殊部隊/スパイ/テロ/ヤクザ系映画

突入せよ! あさま山荘事件

東映株式会社

キャスト

人物背景

 まず,役所広司扮する佐々淳行。よくTVに出演している70過ぎのオジサンですね。元警察庁のキャリアです。その経歴は警備一筋に彩られていて,あさま山荘事件での現場指揮は,彼にさらなる箔を付けたのかも。1930年12月11日生まれなので当時は41歳。事件後は三重県警本部長やら防衛庁に出向したり,内閣安全保障室長にまで就任し,1989年に引退しています。今や『危機管理』の御意見番。
後藤田長官の一声であさま山荘派遣幕僚団のNo。2に任命された当時の階級は警視正で,肩書きは『警務局監察官 兼テ警備局付』と課長級。この肩書きは後藤田長官&富田朝彦警備局長のFBI構想による特殊人事によるもので,地方で重大事件が起こったら身分も地方公務員併任にして現場の指揮をするために用意されたもの。しかし派遣された側にとってはどれだけエライのか良くわからない肩書きなので,劇中でも長野県警側を混乱させてしまいます。
 藤田まこと扮する後藤田正晴。1914年8月9日生まれで,1969年に警察庁長官に就任します。1976年には衆議院議員に初当選し田中派の議員として順調に出世。1993年の宮沢内閣では副首相にまで登り詰め,1996年に議院を引退。「カミソリ後藤田」の異名で政官界に睨みをきかせられたのは,明晰な頭脳は勿論でしょうが,警察族としての人脈による情報収集能力によるところも大きいでしょう。
 伊武雅刀扮する長野県警野間本部長。この人は名前が変えられていて,当時の本部長は野中庸。劇中のように実際に寡黙だったらしいし,突入作戦中の立ち小便のハプニングも実際にあったらしい。
 宇崎竜童扮する宇田川信一。元警視監・元警察学校長で東和警備保障へ天下り,代表取締役会長兼社長に。子供の非行対策や危機管理対策に関する著作もあります。
 天海祐希扮する佐々幸子。佐々の妻で『結婚した頃はミッション・スクール出の何も知らないお嬢さん (連合赤軍「あさま山荘」事件 佐々淳行著 文春文庫より)』だったとのこと。子供を3人(将行・敏行・康行)もうけます。
 もたいまさこ扮する中野の母。実際は犯人・吉野雅邦の母・淑子。犯人説得の際は実際に「まあちゃん」呼ばわりだった。で,日本の警察はよく肉身に説得させたりするが,あれは一長一短で逆効果になったりする場合もある(=余計に興奮しちゃう)のであまりお勧めできない。
 犯人。劇中では名前も顔もほとんど出てきませんでした。犯人役に武田真治もいたんですけどね。徹底的に犯人達の人間性を排除して,単なる悪役に仕立て上げた作品になっています。実際の犯人=連合赤軍(赤軍派と日共革命左派神奈川県委員会の合併組織)の5名は坂口弘(25歳/東京水産大/革命左派),坂東国男(25歳/京大/赤軍派),吉野雅邦(23歳/横浜国大/革命左派),他19歳1名と高校生1名でした。

Key Words/キーワード

あさま山荘

当時の正式名は『河合楽器健康保険組合軽井沢保養所浅間山荘』です。保養どころか,当事件により (河合楽器には了解をとって) 散々に破壊されましたがちゃんと現存しています。誰だったか個人で(デザイン事務所だったか?)住んでるはず。

警察庁

中央官庁です。タテマエとして,日本の警察組織は自治体警察なので各都道府県が各々の都道府県警を運営しているハズですが,エライ人や公安・警備なんかの実際の人事権は警察庁が握っていたりするので,多大な影響力を持っています。
職員は国家公務員になります。捜査員や機動隊員なんかは自前では組織していません。

警視庁

東京都の警察本部です。マスコット・キャラはピーポ君。
一地方自治体の警察組織なのですが,首都東京の警察組織のため他の道府県警よりあらゆる面で群を抜いています。公安"部"があるのも警視庁だけ。特に神奈川県警とは仲が悪いというハナシも。
一番偉い人は警視総監という役職名です。警視庁長官なんて役職はありませんので。

STORY/物語

 警察側から見た,というか徹底して警察組織にのみ焦点を当てた展開です。ある意味,勧善懲悪のわかりやす内容かと。もちろん善は警察で悪は連合赤軍残存メンバーですね。ただ,映画として楽しむ分にはいいですが,ドキュメントではないんで。あの133分だけで事件をわかったつもりにならないように。